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プロの書道家が徹底解説!毛筆と硬筆?書道と習字の違いとは?

AI化が進む昨今、文字を実際に書く機会が減ったとはいえ、ここぞという時に綺麗字な字を書ける人はやっぱり社会的にも有利です。それはなぜか?印象に直結するからです。ただ、ここで気になるのが習字と酷似している書道の存在です。
この2つにはどんな違いがあるのでしょうか。この記事では、習字と書道の違いを徹底解説していきます。

書道と習字の違いとは?

一般的に書道と習字は同じだと思われている方が多いのではないかと思います。
字を美しく書くという所は同じですが、「美しさ」という解釈が違っており、書道には芸術性が求められ、
習字は学校で習う形やバランスの整った正しい文字を書きます。
書道と習字は同じようで全くの別物と考えていただきたいです。

次の目次では、習字の良さをご紹介致します。

習字のメリット

習字は学校で習う正しい文字を正しく書くということです。
とめ・はね・はらいといった部分やバランスを学び、整った字が書けるようになります
書道にある芸術性は不要ですので、余白の美・文字のバランス(整えるというよりもどこを目立たせるかなど)
点などの省略等書道での芸術性というよりも書写で習うきちんとバランスの整った文字を書きます。

整った美しい文字が書けるようになる

偏や旁のバランスなどをしっかり学びますので、美しくバランスの整った文字が書けるようになります。
お子さんは習字で大人は美文字と呼ばれます。

一般的には毛筆でも硬筆も少し右上がりで、入り方やはねる角度は斜め45度が一番美しいとされています。
水平に書くと、右肩下がりに見えて美しく見えません。
また、右に上げすぎるのも傾いて見えてしまいます。



精神的にも成長出来る

習字をする時に落ち着いて書くことが習慣化するので、それが身に付き日常でも精神的に落ち着いて、
冷静にまた、心にゆとりが持てるようになります。
いざという時にも、慌てずに落ち着いた対応ができると考えています。
それにより、精神的な成長ができるということです。



知性と感性が豊かになる

美しく正しい文字の形を理解し、バランスの整った文字をたくさん学ぶため、
お子さんなら学校・大人はお仕事で文字を書く時に活かせます。
また、合わせて読みなども理解でき、書物などで知識が増えます。

美しいといわれる基準を身に付けることができるので、あらゆるものに対して感性を磨くことができます。
これにより知性と感性が豊かになります。

書道のメリット

正しい文字を美しく書くというのが習字です。
書道をしている人は、芸術性が理解できますが、書道をしていない人は芸術性と言われてもわかりづらいです。
正しい文字が美しいというのは、大人も小学校で習った、一般的に共通して美しいとされる文字です。
これを学ぶのが習字になります。
手紙や書類、手続きの際に書く文字など日常生活で使うきれいな文字が書きたい方は習字を学ぶと良いです。

集中力が身につく

習字は精神統一の効果があります。
静かに落ち着いて文字を書くので、何と言っても集中力が高まります。

お手本を見ながら文字の形・大きさ・バランスに注意し、一字一字集中しないと書けないということで、
必然的に集中力が身に付きます。
15分しか集中できなかった方でも、1時間以上集中できるようになります。
「集中力を高めたい」と思われる方におすすめです。

”字を書く”を通して礼儀が身につく

武道の世界では「礼に始まり礼に終わる」と言われます。
これはただ挨拶をすれば良いというのではなく、武道は戦うスポーツですので、
相手を尊重する気持ちが大切だということです。
そういった心掛けが非常に大切で、人間の基本です。

書道でも教室で先生への挨拶、片付け、レッスン後の挨拶をするということは、
お子さんが周りに気遣いができる、また、社会に出て恥ずかしくない大人になる為には必要になります。

努力の大事さや根気が身につく

字を学ぶことに関しまして、美しい文字はコツを学べば上達も早いです。
ただ、上達をされてある程度上手く書けるようになっても、その美しい文字をこれから先も書けるように
毎日練習することも大切ですし、それから違う書体を書けるようにするなど他の書からも学ぶことも大切です。
コツコツと根気よく続けていただきたいです。
美しい文字を学ぶ、それは生涯にわたって学習するものだと考えています。

字が上手く書けないデメリットとは?

きれいな文字が書けると品格が上がり好印象ですが、汚い字を書くとその逆で品格が下がります。
お仕事で手書き文字を添える時に、汚い文字なら何を書いているのか伝わらない上、知性を感じない、だらしない印象になります。
それにより、マイナスの印象で「仕事ができない人」と言われる可能性もあります。

美しい文字が書けると知性を感じ、育ちも良さそうに思われます。
このようなことから、美しい文字が書けた方が良い人生を送れるということです。

人としての印象でマイナス評価を受ける

前述の通りですが、字が上手くない人は印象が悪くなります。
お子さんの書く文字が読めないほど汚いと、学校での評価も良くないですし、
社会に出てどのような仕事に就いたとしても、読めない字を書く人への評価は低いです。

例えば、仕事でお客様に物をお渡しする場面があるとして、それに美しい手書き文字を添えると好印象ですが、
それが汚い文字で書かれた手紙を渡されたら、どんな印象を持たれると思いますか?
それはマイナスの印象で、手書き文字を添えない方が良かったとなります。
人としての評価が下がることにより、お客様からの評価は低く、それにより上司や会社からの評価も下がります。
字が汚いということで、マイナスの評価になってしまうということです。


表現力が身につかない

表現力は会話や文章で表されますが、字が汚いと書く文字に自信が無い為、文字に書いて発信しようとしなくなります。
その結果表現力が身につかないということです。
文字に書くということは、冷静に客観的に物事を見ることができたり、考えを整理できたりと書きだすことによってこのようなメリットがあります。
文字にしないということは考えなども整理せず、書かないので表現力が向上しません。
書くということも数をこなして慣れも必要ですが、そこに行き着くまでにご自身が自信の持てる字が書けるようになると良いです。
そうなれば表現することが楽しくなり、これも書きたいあれも書きたいとなるのでおすすめです。

将来ビジネスで損をする

美しい字を書ける方が好印象であるということをお伝えしていますが、
ビジネスをされる方にとっても、美しい文字を書ける方が有利だと考えています。

「書は人なり」という言葉にもあるように、書いた文字に性格が表われるということです。
実際に美しい文字を書く方は、素敵できちんとした方が多いですし、汚い文字を書く方は生活も乱れてだらしない方と感じることが多いです。
このようにビジネスでも汚い字を書いてしまうと、そのようにきちんとしていない悪い印象を持たれ、人の印象はそのまま引きずってしまいます。
一度印象がついてしまうと払拭できないというのが実情で、それにより損をしてしまうということです。


書道を始める前に知っておきたい事

書道と習字の違いは述べましたが、それ以外で知っておいていただきたいのは
書道用具や書道にかかる費用などです。

道具に関してですが、まずは筆についてお伝えします。
初心者の方は兼毛筆と言って、硬い毛と柔らかい毛が組み合わせて作られた筆がおすすめです。
穂先の長さで短鋒、中鋒、長鋒と分けられています。
お子さんが使われる習字セットの中に入っている筆は短鋒といって穂が短い筆になります。
筆は書く文字の大きさや紙によってある程度おろす部分を決めますが、子供の短い筆は全ておろして書きます。

墨は擦って頂く方が墨色がきれいな上、香りが良く、心を落ち着かせて書くことができます。
ただし、時間がない方は墨汁で良いです。たくさん練習することが大切ですし、またご自身がある程度書けるようになり、時間や心に余裕が出てきてからゆっくりと墨を擦るというのでも良いと考えています。
初心者の方は、硯と文鎮は一般的なもので良いです。最近の硯も軽いものが多く、扱いやすいです。
また、文鎮も真ん中につまみがあるものが扱いやすく、中心がわかるので良いです。

一般的に書道教室に通うとなると、入会金・月謝・競書代(毎月決まった課題を提出して段位・級を決めること)が掛かります。
教室にもよりますが、この他に紙などの道具代や設備費がかかる場合があります。




硬筆とは?

鉛筆・ボールペン・万年筆等「先の硬い」ペンを指します。
毛筆の対義語になります。

毛筆は穂の弾力を利用した筆使いを学びますが、硬筆は文字の形を学び立体的な毛筆字に近づけるように書きます。
線質をきれいにしてから形を学ぶと上達が早いです。

普段生活していると書くシーンは意外とあると思います。
お仕事や何かの手続き、お子さんがおられる方は学校で提出する用紙や連絡帳に書くなど様々です。
そこで美しい文字が書けるととても素敵ですし美しい文字のコツを学んで、ご自身が書く文字に自信を持てるようになっていただきたいです。


毛筆とは?

毛筆とは筆のことで、書道と言いますと毛筆で書くのが醍醐味になります。
筆の毛の種類(弾力の違い等)や大きさも様々です。筆は書く文字の大きさや紙のサイズに合ったもので書きます。
美しい文字を書くために筆選びが重要になります。
(別のブログで筆について解説しています。よろしければご覧になってください。)

書道と習字の違いを述べましたが、書道における「芸術性」って何?と思われると思います。
テレビCMやポスターなどでも、皆さんはどこかで書を見て「この書の良さはどこかな」と思われたことはないですか?
これは良く聞く話で、書道は自己表現をするという学問で筆の入る角度や文字の形、余白など習字とは異なります。
書道を学ぶと、その「書の良さ」が少しずつわかってきます。展覧会などでたくさんの書作品を観るというのも勉強になります。

書道の団体でも何を得意としているか(漢字や仮名等)というのもありますが、芸術作品を作り上げるというのが目的です。
習字とは全く別物ですので教室選びの際には注意していただき、ご自身に合った教室を選んでいただきたいと思います。

字を綺麗に書く為の基本ステップ

美しい文字を書くためには、まず線質をきれいにすることが大切です。
漢字は線と線との組み合わせになりますので、線質が悪いと文字がきれいに見えません。
線質をきれいにしてから形を学びます。また、正しい形を認識して書きます。
美しい文字のコツはたくさんありますので、一つずつ覚えて書くと良いです。

硬筆では線を正しい姿勢とペンの持ち方、線質をきれいにするための準備(下敷きやペン選び)から、打ち込み、点画(はね・はらい)の書き方、リズムよく書くこと、主画(主役となる画を決めてそれを強調させるように他の画を短くするなどして書く)偏と旁のバランス、中心を意識する、すき間均等法、右下重心法、などを学びます。
毛筆では、正しい姿勢と正しい筆の持ち方、点画(はね・はらいなど)の筆使い、バランス等を学びます。

硬筆・毛筆共に基礎からお手本をよく見て書きます。
わからないことは先生にすぐに質問し、書き方を教えていただきます。
毛筆では書く文字が大きくなるという方が多いので、ご自身が書く文字が大きすぎるようであれば、一度摸書(敷写す)をしていただけたらわかりやすいのでおすすめです。

字形を整えるところから始める

前述したように線質をきれいにしてから、正しい字形を認識して書くと良いです。
正しい字形を学ぶ際に、筆順が大切になります。違った筆順にすると、美しく見えない上、変な部分に空間ができ違和感が生まれます。

基本は正しい字の形を学んでいくと、筆脈(目に見えない所のつながり)がわかってくると思います。
書道では筆脈(目に見えない所のつながり)がとても大切で、それができると美しく表現できます。
一画一画きちんと止めて書く「楷書」、続け文字の「行書」なども筆脈が重要です。
また行書になると筆順が変わることがありますが、筆順が変わっても筆脈は意識しながら書きます。
まずは字形を整え、正しい文字を書くことが大切です。


文章の見栄え(字配り)を整えることを意識する

文章の見栄え(字配り)に関して、基本は文章を書く時は中心を揃えます。
縦書きなら一文字目を中心を意識し、二文字目は一文字目の中心を合わせて同じように書きます。
そのようにして文章の終わりまで書くと、ずれることなく真っすぐに書けます。

字配りに関しましては、漢字とひらがなのバランスに注意して書くと良いです。
漢字は大きくひらがなは小さめに書いていただくときれいに見えます。
書道の表現方法によっては、ひらがなを大きく書くというのもあります。
表現方法によって様々な書き方があります。

まとめ

業務の95%以上はパソコンで行われています。
文字を書く機会が少なくなっていますが、実際にはまだ書く場面はあります。
ご自身の名前や住所、お礼状や冠婚葬祭等を書く様々なシーンで、もっと美しい手書き文字が書けたらなぁと思う方も多いのではないでしょうか?
毛筆や硬筆で人前でサラサラっと美文字が書けると素敵ですよね。

美しい手書き文字は一生の宝物です。
お子さんを書道教室や習字教室で習わせるということは、親御さんも子供の頃に習っていたなどで、字がきれいな方が将来有利だとわかっているからです。いまだに書道教室の数が多いこと、受講生の数が多いことも納得できます。
美しい文字が書けると知性を感じて好印象です。

書道教室はたくさんありますが、書道教室や習字教室でご自身に合った内容で教室選びをしていただきたいです。
書道は生涯にわたって習得する学問です。
ご自身が思うようなレベルで書けないとしても、他と比べないでご自身の今や過去の作品と比べてみて下さい。
成長されているのががよくわかりますので、焦らずに少しずつ練習されると良いです。
習字教室でも書道教室でも、楽しく学べて、先生に会いに行くぐらいの気軽な気持ちで良いと思います。
長く続けるために楽しく工夫して毛筆・硬筆を学んでいただきたいです。

神戸市須磨区
麗墨書道教室 麗華